- 新海 御大、並びに制作陣の熱量・拘りが今回も随所に垣間見える(というか2時間ぶっ通しで迸る)作品:
- われらの人生の紆余曲折・もがき・踏ん張り を後押ししてくれる肯定的テーマ・メッセージが随所で感じられる。
- 一方で「人生こうあるべき」と押しつけがましくない。台詞からも夫々のキャラクタ―(及び我ら人間共通)の機微がつまびらかに描写されており、解釈も視聴者の状況や年代にとって色々感情移入出来るけれど、人生(色々あるけど)賛歌・肯定してくれるメッセージは万人不変に訴求してくれる(はず)。
- 伏線を思わせぶりに散りばめていてくれるものの、程良く忘れた(というよりプロットに集中させてくれるので伏線をあまり意識しない)頃に回収してくれ、終始先の展開への期待が絶えない。
- 現実描写のリアル感にとことん拘っているので、違和感無く現実(といっても一般ピーポーが体験する日常よりは起伏のあるプロット)からフィクションの世界へと交差する場面に誘(いざな)ってくれる。
- それでも現実では中々こっ恥ずかしくて言えないような、クスリと笑えるやり取りや台詞があるのもアニメの醍醐味!(「先輩」呼称のくだりなど)
- 聖地巡礼: 劇場から出たら、ゼロ距離&秒で聖地巡礼が可能な稀有な作品。
- 東京都心部近郊であれば池袋のHUMAX CINEMAで観るのがお勧め。
- 今回もその他東京各所も随所に出てきます。
- 印象的なのは奥に新幹線が走る坂が見える田端付近か?
- 音楽: RADWIMPSは盤石の安定感。ジブリでいうところの久石譲タッグとなっていくのでしょう。
- エンドロール: 漢字名やAlphabet名が多く見受けられた。パイの取り合いにならない(良品がインスパイアされどんどん生まれる)アニメ産業はどんどん輸出するべき、というのは業界を知らないいち消費者の絵空事なのだろうか。(丁度タイムリーに京アニの凶報もあり、単純な帰結は出来ないのだろうが)
- 公開当初の天候: 丁度作中の天候設定が2019年6~7月にかけての東京の天候(ずっと雨)をかなりミラーしていて、偶然かもしれないが、本作の天気に対する洞察・訴えを身近に感じられる。天候変動に関に関しても作品を通じて問題提起しているのでしょう。
- 商標: チキンラーメン・ポテチ・カップヌードル・ソフトバンクのお父さん・Bossのビックネームが全面的に標榜されているようのは分かる。ただ「マンボー、マンボー」もそのままの存在感を放つ中、何故かアパホテルとドン・キホーテ(他にもあるかもしれない)は若干改名されていたところに、何か大人の事情を感じた。
- 平泉成さん: 声だけでも存在感十分。細かくて伝わらないモノマネ選手権のイメージがどうしても頭をよぎる中、人情味系警部の味わい深さは逸品。
- 新海作品の10代以下の精神成熟について:
- おしなべて10代(ぽいヤング)が主役でなので、「こういう人生のフェーズ(紆余曲折)は10代で卒業しなさい」という解釈を受けとってしまうのは、筆者の穿った人生観(及び所業)に依拠しているのか。。
- 四葉にしろ、今回の凪にしろ、どうも最年少キャラが異様にしっかりしているのは、「フィクションだから」という帰結としたい。(最近の少年少女はこんなにスペック高いの?)
「君の名は」という傑作のDNAを感じつつ、更にエンターテーメントとして昇華してくれた新たなマスターピースです。後3回は劇場で観れる!
※これより下は、感の良い方はPlotが読めてしまうかもしれないので、1回観てからの反芻用にご参照下さい※
鑑賞直後聖地巡礼の足跡:
- 鑑賞後の爽快感・満足感は今回も健在。どうしても現実はこうもドラマチックではないので、毎度現実に引き戻されざるを得ない「鑑賞後ロス」も不可避。
- 前作キャラ: 2人は明らかなのですが、テッシー、さやか、四葉も出ている模様(見つけられませんでした)。夫婦別姓が主流でないのを考慮すると色々と思惑(前作から何年後経過したか?、2人の行く末など)を自由に広げられる余地あり。
- 「人柱」という単語は、一般的な単語なのだろうか?: ハガレンやらナルトやらで触れた人はいるだろうけど、今作品でググった人も多いのでは。
- 特に印象的なシーン(旬をとっくに過ぎた拗らせ男子用):
- 平泉成警部「…人生棒にふっちゃってるからね。(中略)羨ましいよ」から壁に刻まれた伸長の足跡を見て>須賀さんに視点が移る一連のシーン
>アラサー拗らせ男子には染みる - 帆高自戒シーン「一番歳上じゃん」
> 自堕落なおっさん進行中の胸に突き刺さる
- 平泉成警部「…人生棒にふっちゃってるからね。(中略)羨ましいよ」から壁に刻まれた伸長の足跡を見て>須賀さんに視点が移る一連のシーン
琴線に触れるシーンが多すぎて書き(&思い返し)きれません。何回でも観れます。