小豆島 赤嶽クライミングツアー 2023 その2

本年のGWに慣行した小豆島ツアーで残したびしょ濡れの宿題回収を見据えて、鼻息を荒く9月頃から節操なく知り合いのクライマーに声をかける。
9月に幕引きとなった旧ホームジムT-Wall(現ベースキャンプ)で5年前に良く登って下さったTKさんに応諾頂き、今回もとりあえずロジ周り(脚+宿)を予約して残りは成り行きでツアー敢行。 初日観光レスト+3連登+最終日観光レスト という健全なクライマーにとっては全くもって非効率な謎行程であったが、望外に早い宿題回収のおかげで、なんとも終始ご機嫌なツアーとなった。

11/22(水): 前日移動
当日に面倒な仕事が入ったものの、とんずらこきたい一心で珍しく超集中で仕事を片付け 22:10 新宿バスタ 発 -> 08:30 岡山駅前 着で夜行バス移動。5,300円/一人。ぶつ切れ睡眠を覚悟するも、思いの外睡眠は確保できた。

11/23(木・祝、レスト):
事故により夜行バス到着が40分程遅延(8:30 > 9:10) のため、急ぎでのレンタカー手続きフェリー乗船となる。 10:10 新岡山港 発 -> 11:20 小豆島土庄港 着で7,690円/(車1台+2人)。人のみ乗船だと1,200円/大人。



往復1時間かかる赤嶽へのアプローチと当日実施される「瀬戸内JAM」@オートビレッジ吉田への参加を鑑みて、初日からレストとして計画していたので、この日はのんびり観光モード。
到着後は観光センターでお土産購入。聞き込みで伺ったおすすめのエンジェルロードに近い「味彩」に向かうも予約で入れず、宿の小豆島オリーブユースホステルに向かう。C/Iは16時からなので、GWぶりの挨拶だけ済ませて、前回御用達の草壁の「さぬき庵」にて昼食を済ます。

TKさん希望で小豆島唯一の酒蔵「小豆島酒造」に向かうも木曜定休。私は前回訪問済みだが、醗酵マニアTKさんにおすすめすべく「ヤマロク醤油」にて醤油蔵見学に移動。目論見通り満足頂いたのち、瀬戸内JAMに参加すべく吉田方面に向かう。

ヤマロク醤油蔵

会場のオートビレッジ吉田は主にローカル民(香川ナンバー車)で活況しており、クライマー関係者もちらほら。出店の焼き鳥やらおでんやら、アイスクリームをつまみながら、色々伺う:

・島内でも世代交代時の移動が起きており、大部などの過疎地域から、草壁や土庄などの利便性の高い密集地への移動(新居建築)が多い(それでも2.5万人の島民のうち毎年300人程の流出超過)

・赤嶽は非クライマーにも認知が高く(瀬戸内JAMに来る位だから当たり前だが)、クライミングに対してはポジティブ(だが、現状大きな事故やトラブルに見舞われていないため、問題が顕在化するとどう転ぶかは何とも言えない)

瀬戸内JAM 2023

パラクライマーレジェンドの小林さんがいた&「Life is Climbing」を事前に観ていたので、厚かましくお声かけする。朧気な記憶から引っ張りだして(鑑賞後のメモを態々記録したのに参照せず。。)拙い感想を述べるも喜んで頂き、毎年11月に開かれるパラクライミングの大会への参加の機運が高まる(外岩シーズンと被るのが惜しいが来年はぜひ参加したい)。

それでも十分に時間を持て余すので、体験クライミングが行われている吉田の岩場を散策する。前回は人っ子一人おらず、古いボルトに意気消沈としたが、人がとりついており賑わいがあると全く異なった活き活きとした岩場に見えてきた。(ロープとハーネスもっていけばよかった)

吉田の岩場@小豆島
吉田の岩場@小豆島
瀬戸内JAM 2023

岩場散策後は夕暮れとなり17時からのプログラムであるクライミング動画の鑑賞会が始まった。中島徹さんの称名滝350mフリーソロや、北平さんのCentury Crack挑戦などいちクライマーとしては各人の狂人性(ぶっ飛び具合)が垣間見えて面白かったが、ハードコアすぎて一般ノンクライマーに訴求したのかはちょっと不明。
中島さんと安間さんのトークセッション&小林さんのLife is Climbing鑑賞前のトークを拝聴して、20時を回っていたので、Life is Climbingの途中で退席。

瀬戸内JAM トークセッション

草壁に戻り、マルヨシセンターにて翌日の行動食を購入して、宿のお風呂に入って、共同ラウンジにて夕食。瀬戸内JAM参加のクライマー関係者が続々とラウンジに集まりワイワイ晩酌し就寝。

11/24(金、登攀1日目):
凡そ7:00宿発、7:30駐車場着(一番乗り)、8:00岩場着、TKさんに岩場概要説明後8:30登攀開始といった感じ。

駐車場には前回なかった立て看板が設置されていた。Webでの登録/入山連絡(駐車場で電波入らない場合は下山後でOKだが毎日実施要)を行い、隣のBoxに300円を支払う。

看板@赤嶽駐車場前

温度は10℃位@駐車場でこの季節にしては比較的暖かかったが、赤嶽では終始風が強く、風が吹かない時の暖かい甲府幕(前週訪問)より寒いような体感。
アップルートの少ない赤嶽での貴重なアップ(といっても決して心地良くない)である「ガジュマル」を混雑前にまずTKさんに登ってもらい、早速下部でのアップもかねて宿題である「エルカミノ」にとりつく。

前回初めての核心突破で最終クリップまで行けたので、あわよくばRP狙って核心前で十分レストするも、終始吹き付ける風に全然体が温まらず、あっけなくテンション。前回濡れであった最上部も漸く精査して降りる(そんなに探ったつもりはないが延べ1時間)。中々に最後まで厳しい(前回ツアーで苦し紛れのランジしたけど、絶対止まるはずもなかった)。

案の定、混んできた(といっても総勢7~8パーティー位)時間帯となり人気の「日々是好日」、「オリーブLINE」などは埋まっていたので、TKさんは私のお勧めで「太陽の恵み」にOSトライ。終了点手前2-3クリップまで粘って迫るもテンション。

そわそわした昼食を挟み、エルカミノ2便目は一応RP狙いなのだが、ツアー序盤だし、強風吹いてるし(など心中で登れない言い訳をかき集めながら)とりあえず気負いせず出発。上部でのロープドラッグがひどくなるので、屈折点を少しでも減らす意図を込めて、下部はクリップ後のクライムダウンを交えて1本下をアンクリップなどで間引きながら(※あくまで自己責任)核心に近づく。比較的余裕をもって核心突破できたので、一気に心が逸るも、すり減っていく腕と体幹をレストでごまかしつつ、前回落ちた最終クリップ付近まで到着。前便で初めて分かった最後の細かい部分が頭にちらつき、心負けしそうになったので、一旦直近ガバまでクライムダウンを選択。これは一気に行ってしまった方が絶対によかったのだが、維持のレストで腕を戻して、再トライでフラフラになりながら突破。ロープドラッグで完全にワンムーブある奮闘的な終了点クリップを終えて、めでたくRP.

 

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前回と同じくまたもや30分超の奮闘的なRPトライとなったが、望外にうれしい早期宿題回収となった。(ここからツアー中は終始ルンルン)
TKさんも登らないとのことで、早めに下山&買物&お風呂。
共同ラウンジでまたもやクライマー終結し、晩餐。TKDさんのハンドパンLiveを嗜み、ネコと戯れる。

shodoshima_nyan

11/25(土、登攀2日目):
前日とほぼ同じ時間でやはり一番乗りで岩場到着。風は前日よりマイルドだが、6℃@駐車場位と気温が寒い。またもや混雑前にTKさんが「日々是好日」を寒い中奮闘的に登るも、テンションでトップアウト。やはりルート内容は高評価。

私はトポ記載の奇跡のカチを拝見しにアップを兼ねて、(前日の晩餐にてTKDさんもお勧めの)BONにトライするも、ボロボロ削れる下部で心が委縮した中で、ランアウト気味のカチカチフェイスに委縮しっぱなしで、奇跡のカチにたどり着けず敗退。全然勝負にならず恐らく封印となる。このため、ジャンボリーケイブで取り組みたい課題がほぼ無くなった(しょぼーん)。

TKさんはこれまた私のお勧めで「デクラス」にトライ。RPに拘りはないというものの、全ムーブ解決。
MEはBONからの鞍替えで「マイフレンド」にOSトライ。2P目前左下のエッジフレークがすごい使い易いのだが、恐らく崩壊間近。右回りの方が厳しそうだが安全を考えると絶対無難。上部核心と思しき入口付近でOSはアウト。パワフル&テクニカル&ストレニで最後までワルい。2便目に件の2P前左下エッジフレークを使わず右回りにするか悩んだが、RPトライでの墜落を懸念して、リスクを取り恐る恐る荷重を少なめにしてまたもや左周り(※あくまで右回り推奨)。
テラスを超え上部もギリギリになったが、本日も嬉しいRP。

 

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夕食のラウンジでは前日よりディープな関西(羽曳野&岸和田)のお話を伺ったり、兵庫から遠征のマメオ/ARさんと今後の四国・中国・海外遠征の企画に胸を躍らす。

 

11/26(日、登攀3日目):
3連登ということで1&2日目よりかなりゆっくり出発し、寒霞渓での瓦投げ(するアクティビティがある)遊山も挟んで、岩場には11時頃着。
トライする課題を悩んだが、壁としては長大で圧巻される「ダイナマイト」をトライ。前回のツアーでビレー失態を犯してしまったルートでもあり、取りつきからはとても難しく見えて敬遠していた。
ただラインとしてはとても魅力的なので、(捨てビナ準備して)ダメ元でトライをしてみる。序盤に明確に難しい&コワいところがありテンションでFLトライはあっけなく終了。とりついて分かったが、高度を上げるにつれて見えてくるホールドとラインを繋ぐのがとても楽しいカチルート。
中間支点があり(といっても普通のルート感覚でいうと終了点と錯覚するようなかなり上部)、その上部も厳しく見えるのだが、取りついてみると無理のないラインでつなげて、最後はマントル返してトップアウトもできる。長大なスケールもあり全体としてとても充実する好ルート。途中脆そうなカチはあるものの、赤嶽で触った課題で一番の名ルートかも。
ダイナマイト2便目は下部核心を超えた後も緊張感を保ったまま、上部まで。これも30分越えのRPトライとなった。(登るの遅すぎ)

 

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TKさんは今ツアー最後のデクラスRPトライ。TKさんとしては珍しい長いレストも挟み会心のRP。
やや時間が余っていたので、翌日最終日の登攀対象とする予定であったYYTエリアを前乗りで偵察。悪いアプローチを登った先の壁はいかにも脆そうで翌日登攀の機運がかなり萎える。ここでツアーの登攀終了となるのも消化不良なので、右岸壁でもう一本登ろうとするもヘッデンクライミングとなる暗さであったので断念。結局お互い2本しか登らなかったが、宿題回収でホクホクの帰路に着く。
最終日なので、外食も考えたが、いつも通り合計2組と寂しくなった共同ラウンジで最後の晩餐。

11/27(月、レスト/帰路):
前日に登攀しないのは決めていたので、土庄港 > 新岡山港のフェリー乗船候補時間は 10:10 か 11:40 (か14:00)。TKさんに我儘を言って、地元の不動産屋で聞き込みをする。というのも、現段階では完全に妄想だが、2拠点生活とは言わないが、(ボロくて良いので)別荘位の感覚で安く家が帰れば夢が広がると思っていたため、買う買わないは別にして話を伺ってみることにした。
目論見通り地元ローカルのお話を色々伺えた一方、価格帯感は恐らく先方には全く面白くない話なので、役場の空き家バンクへの登録を推奨される。
小豆島にある2つの(小豆島町と土庄町)それぞれの役場で登録する必要があるとのことで、足早にオリーブ公園の道の駅に立ち寄りつつ、それぞれの役場での担当部署にてお話を伺い登録を済ます。

オリーブ公園

多分、よほど良い物件がない限り行動に移すことはなさそうだが、慎ましやかな夢(というより妄想)の起点の楔にはなっただろう。

前回好評であったお土産の佃煮をスーパーで大量購入して11:40発のフェリーに乗船。

小豆島お土産(醤油&佃煮づくし)
Olive Line@土庄港

新岡山港到着後の昼食候補として TKさんご提案で車で10分ほど離れた岡山港の「岡山市中央卸売市場」に向かう。「市場ふくふく通り」では閉まっていた店も多いものの、海鮮を含めて色々な食事処が集積していた。

市場ふくふく通り@岡山市中央卸売市場

一通り回った後、インスピレーションで「春夏秋冬」と暖簾がかかった店に入店。これが大当たりで海鮮をふんだんに盛った海鮮丼を堪能。

海鮮丼(1,500円)@春夏秋冬

ここでも佃煮をお土産に2-3個購入後、50年前に岡山に居住していたTKさんの母校に向かう。新幹線沿いの母校の母屋は50年前と同じ模様だったが、TKさんの記憶が蘇ることはなく(笑)、単に地元の進学校(ここも中高一貫であった)を外から見学しただけであった。

ニッチな買取専門店

市の中心部に戻って、後楽園と岡山城を観光。
旭川を隔てて岡山城(1597年築城by藩主宇喜多秀家)と後楽園(1700年頃?完成by池田綱政)が併設されており、後楽園は参勤交代(で江戸の肩身が狭い中とは対照的に)の束の間地元の主として羽を伸ばしたであろう藩主の余暇と石高が詰まった優雅な庭園であった。岡山城は黒い外観から「烏城」として呼ばれ(白鷺城に例えられる姫路城と対をなして)、四角形ではない「不等辺五角形」として珍しい土台らしい。後楽園をゆっくり散策し岡山城内のパネルをのんびり見て丁度2時間ぴったし。

岡山 後楽園

岡山城(烏城)
岡山城から市内中心部

岡山城(烏城)と旭川
岡山 後楽園

夕暮れ時となったのでレンタカーを返却し最寄りの路面電車駅から岡山駅前に向かって街を眺めつつ旅の締めくくり。岡山駅前で翌日広島への旅行を予定しているTKさんと別れて駅前散策しようとしたが、80mロープの重さを断念し、東口、西口の外観だけ写真をとって新幹線にて帰路に着く。料金は岡山 > 東京の自由席で片道16,600円。夜行バス5,300円に比べると3倍なので、今後もやはり貧乏旅行になびいてしまいそうな気がする。

路面電車@岡山
岡山駅東口
岡山駅西口

丁度前週日曜に5年越しの課題である甲府幕岩の「風になれ」もRPし、本ツアーでのエルカミノの早期決着も着き、観光もクライマーとの交流も諸々至高の1週間であった。(翌日の社会復帰が堪えたのは言わずもがな)
他方で赤嶽は近くにあれば是非通いたい岩場であるものの、すぐには片付かなさそうな課題(主にジャンボリーケイブ)ばかりとなってしまったため、暫く(新エリアの公開まで)再訪はなさそう。

ルート所感:

RP on Decimal Grade Route Name Result 体感 Days tried Atmps tried
11/24 13b エルカミノ RP 12d 4 6 ☆☆☆☆
11/25 12b マイフレンド RP 12b 1 2
11/26 12b/c ダイナマイト RP 12b 1 2 ☆☆☆☆☆

エルカミノ:

ボロボロ削れる下部を超え, 概ねポジティブなホールドを大きく繋ぐ長大などっかぶりルート。中間部以降は概ね安定しているが、春は終了点付近が水の通り道となっていて、晴天が続かないと渇かないとの事。(雨後の晴天が4日続いても終了点付近が濡れていた)

BON:

例の如く脆すぎる下部に終始ランアウト。トップアウトできず全容分からず・・・

マイフレンド:

パワフル&テクニカル&ストレニな上部は面白いのだが、2P目前左下のエッジフレークが恐らく崩壊間近

ダイナマイト:

パット見とても難しそうに見えるが高度を上げるにつれて見えてくるホールドとラインを繋ぐのがとても楽しいカチルート

 

コスト (東京起点):

202311-小豆島ツアーコストサマリ